大学院入試を準備するにあたって、筆記試験と面接・口述試験が必要であるというのはすでにご存知だと思います。
ところが、大学受験に関しては多くの情報が有り余っているのに、大学院入試(院試)に関しては少ないですよね。僕自身も周りに大学院入試を準備している友人が一人しかいなかったので苦労した記憶があります。
さて、実際に大学院入試を準備しながらわかったこと、入学した同期のM1に聞いて知ったこと、研究室の先輩や後輩との雑談で気づいたことを要約すると、院試において英語(TOEIC、TOEFLスコア)と研究計画書、それと研究室訪問が重要だということです。
とはいえどうやって準備すればいいのかわからないという方もいると思うので興味のある方は続きを読み進めてください。
なお、前提として同じ大学の大学院に進学する内部進学ではなく、別の大学院に進学する外部進学に焦点をあてて解説しています。
目次
STEP1 入試説明会と研究室訪問の参加はほぼマスト
大学院入試のスタートは、入試説明会から始まるといっても過言ではないでしょう。もちろん、気になる研究室や教授の研究をすべてチェックしておいた上での話です。
ほとんどの大学で大学院入試説明会を実施しているはずなので、必ずスケジュールを調整して参加するようにしましょう。というか大学四年生であれば、しかも就活していないのであれば時間的余裕がありますよね。
なお別記事でも書いたことがありますが、研究室訪問もしておいた方がいいでしょう。僕自身は入試説明会の前に研究室訪問をしましたが、説明会で気になる教授と話す機会をつくることができると思うので、後日研究室訪問をしてもいいと思います。
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STEP2 大学院入試の情報を集める
そして情報収集。これはもう大学院入試を制する上で鉄則ですね。もうこの段階で入試の成否が分かれるといってもいいかもしれません。それくらい重要だということです。
入試要項がホームページで確認できる場合は、受験科目、英語、専門科目、TOEICスコアの提出有無など、事前にチェックしておきましょう。
大学入試と比べると、大学院入試に関する情報は非常にクローズドです。書店で売っている情報はネットでも拾うことができる表面的な情報しか書かれていません。だから、入試説明会と研究室訪問という面倒かもしれませんが、足で稼ぐ作業が重要なのです。
具体的に得られる情報を列挙しておきましょう。
- 過去問・出題傾向
- 出身と外様(外部)の比率
- 大学の施設、研究室の内部など
順番に説明していきます。
過去問・出題傾向
大学入試でも資格試験でも、やはり試験対策の基本は過去問を入手し、解いてみることから始まりまります。
ただ「赤本」という形では売られていないので、大学に問い合わせしてみる必要があります。志望する大学院の入試情報ページに入り、検索してみてください。親切な大学(ITリテラシーのある大学)であれば、過去2, 3年分の過去問をウェブ上で公開していたりします。
僕の場合は、郵送で過去問を送ってもらうという形でしたので、切手を貼って過去問を請求しました。まずはきちんと過去問の有無を調べておきましょう。
じゃあ、問題は過去問が非公開の場合どうするのか。事務室に問い合わせてもだめだったという場合ですね。フォーマルな手段だと過去問が入手できないなら、インフォーマルな手段を使うしかありません。
つまり、指導を希望する教授にきいてみる、研究室の先輩にきいてみるという方法です。特に研究室の先輩方は試験に合格して入ったのですから、貴重な情報源となるわけです。
で、繰り返しになりますが、こうした情報源というのは足で稼がないと手に入らないわけです。
「いやいや、それでも全然情報がないんですけど!」もしこうなったらどうするか。僕ならあきらめるかもしれません(笑)。というか過去問の情報がまったく外に出ていないというのは、外部から人間を受けれるつもりがない。つまり外様の受験生を受け入れない(内部進学100%)の可能性があるので、その場合は入試結果を確認するか、他大学の院生がいるか確認しておく必要があります。
内部進学と外部進学の比率
これはホームページの入試データなどで調べることもできます。先程述べたように、内部進学100%の場合、外部の学生はシャットアウトしていると解釈するのが妥当です。
ただ例外もあります。大学の同期でものすごく頭のいいやつ(首席卒業)がいるんですけど、彼は内部進学の壁を打ち破り、唯一外部出身の院生になっていました。
・・とはいえこれは例外だと思うので、なるべく外部進学出身者のいる研究室を目指すのをおすすめします。例えば、学部をもたない独立大学院(大学院大学)であれば、わりとオープンです。
とはいえこの辺りのことは実際にきいてみるといいでしょう。それで外部出身者が多ければ問題なしです。
大学の施設
よくある話ですが、ホテルの外観と内装の写真をみてきれいだと思って予約したのに、実際に泊まってみるといろいろ問題があったって話ききません?
やっぱり写真だと限界があるわけです。特にホテルなんかだと写真一枚の出来が売上を左右するので、きれいなものしかありません。
じゃあ大学のホームページはどうか。お金のある大学はしっかりとつくりこんでいます。試しに早稲田大学のHPにスマホでアクセスしてみてください。どうですか?
おそらく早稲田大学を受験する100人に50人くらいが、ホームページをみて胸を高鳴らせるわけです。それで、実際に足を運んでみるとどうか。まぁイメージした通りでしょう。
ところが、大学の図書館や研究室の中、食堂、講義室などは、外部の人間はなかなか見ることができません。特にお金のない国立大学を受ける場合、施設に関してはお世辞にもいいとはいえません(赤門の大学以外は)。
何がいいたいのか。もう繰り返しの繰り返しですが、直接足を運んでみないとわからないということです。それで入試説明会というのは建物の中まで見学できる絶好の機会なわけです。
少なくとも2年はお世話になるわけですから、自分が使う研究室くらい事前にみておきたいくありませんか?
STEP3 院試の勉強を始める
さてここからが本題です。以上、ある程度の情報を集めた上で院試対策が始まります。で、問題は何の準備をすればいいのかという話なのですが、文系理系、学部学科によって異なります。
その中でも絶対的に必要なのが英語と研究計画書です。これはもうほとんどの院試で課される科目だと思っておいた方がいいでしょう。簡単に理由をあげておきます。
理由1:文献がほとんど英語
学部によりますが、大学院の授業で扱う教科書、文献は英語がほとんどです。心理学系は100%といってもいいかもしれません。
とういうことは、ある程度英語の読解スキルがないと授業についていくことができないし、論文もかけない。えーい、だったら院試で受験生の英語レベルを確認してやれ!というのは、僕でも考えそうな悪魔からの知恵です。
理由2: 何が目的なのかわからない人を門前払いできる
とはいえ世の中には英語が上手な日本人というのはそれなりにいます。じゃあ、英語ができれば万事OKなのかというと、もうひとつ壁を用意しているのです。
研究計画書という院生になってからもお世話になる代物ですが、これがまぁ書くのに苦労するわけです。だって学部生がそんなもの書いたことあるわけがないでしょ。
とはいえ教授が研究計画書を大真面目に読んでいるかというとそういうわけじゃなくて、どうやら学生の思考力と論理力。このあたりを判断する材料としているようです(うちの教授が飲み会でちらっとそんなことを言っていました)。
ですので、ものすごい内容を書く必要はありませんが、だからといって訳のわからないことや、空想レベルのお話を書いてもだめですよということです。社会通念に照らして判断しますからね。
理由3: 専門科目ではあまり差がつかない
これは一般論ですが、専門科目は得意だったり勉強する人が多いです。でも英語対策はなおざりにする人が多い。
僕は大学にはいってから英語を全く勉強していなかったので本当に苦労しました。専門科目は院の先輩から勧められた参考書を図書館で借りてきて、ずっと読んで頭に叩き込んだのですが、英単語はそうはいかない。
おそらく英語対策をきちんとしていなければ、一次試験で落ちていたと思います。おそらく落ちた受験生のほとんどが英語が原因じゃないでしょうか。
英語対策:TOEIC・TOEFLスコアを提出する
院試の英語対策で優先順位が高くなるのが、読解と英作文です。
目安としては、ひとつの区切りであるTOEIC L&Rで730点がほしいところです。理由としては、
- 英語試験が免除される基準点として使われている。
- 英語文献を読む上で苦労しないであろうひとつの目安。
- 就活のときに一応提出できるスコア(採用要件のひとつ)。
近年、旧帝大のほか、有名私大の院試においてもTOEIC, TOEFLなど英語資格の提出を求められるケースが増えています。
英語試験免除制度の有無は、受験する大学院の入試要項を確認する必要がありますが、本気で院試を目指すのであれば、バイトや飲み会の時間を削ってTOEICの勉強にリソースを投下しましょう。
センター試験で5教科7科目を勉強をするのが大変だったという人でも、とりあえず英語(TOEIC)対策一本ならできる気がしませんか。
英語に苦手意識のある方におすすめなのは、短期間で効率的にスコアアップを目指す講座を受けることです。
社会人になった今、改めて英語の勉強をし直しているのですが、youtubeやオンライン英会話を受けるより長続きしています。
研究計画書
基本的に研究計画書で書くべきこととは、
- 具体的な研究テーマ
- その研究テーマを選んだ背景(先行研究の課題など)
- 研究の意義・目的
- 研究のアプローチ(事例研究・理論研究など)
- 研究で得られる成果
少なくとも、これら5つの点は書いておくべきでしょう。大体3000から4000字でまとめることになると思いますが、短期間ですぐに書けるものではないので、しっかり準備しておく必要があります。
研究計画書については、研究室訪問時に指導教授と相談するというのも一手です。同期の一人は、それを口実に研究室訪問していました。
気をつけるべきポイントは、面接時に質問されることを意識して書き上げること。ロジックも大事ですが、専門用語について聞かれて答えられないと困るので、計画書で言及した先行研究、理論、専門用語位は答えられるように準備しておくことをおすすめします。
ちなみに大学のレポート、論文が苦手な人もいらっしゃると思いますが、そういう方に超絶おすすめしたいのが「論文の教室」。
大学1年次にこの本を読んだおかげで、レポートを書くのが怖くなくなりました。
おわりに
正直、院試にかける時間はそれほど多くありません。早くから準備するに越したことはないですが、院への進学を考える時期は人それぞれです。
ただ研究計画書はなるべく早めに仕上げる必要がありますし、英語が苦手な人であれば単語を覚えるなりするべきです。
特に学科と関連する分野の専門用語はTOEICの勉強だけでは補うのが難しいと思うので、院単なども活用するといいかもしれません。
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大学院受験に必要な英語力を身につけるには?
競争率の高い院試で重要になってくるのは「英語対策」です。
特に文系だとTOEIC800点以上の猛者が参戦してくるので、TOEICスコアが足りないという場合には試験で点数を稼ぐ必要があります。
入試科目の英語で差をつけたいという方は、まずは無料カウンセリングに参加してみてください。