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大学院入試の準備|研究室訪問のマナーとメールの送り方

大学院入試の準備段階において、まず済ませておきたいのが研究室訪問です。特に他大学大学院の受験を考えている場合、指導教授との相性を確認するという意味でも必ずしておきたいところです。

研究室訪問の時期は人によって様々ですが、4回生の5月、6月頃までには済ませておきましょう。7月以降になりますと、本格的に大学院入試が始まりますし、夏休みが近づくにつれ、教授もだんだん忙しくなり、大学内にいないことが多くなるからです。

ところで、コンタクトメールの書き方がわからなかったり、何を話せばいいのか分からないという話が当時いた大学院の中でも話題になったことがあります。

研究室訪問において注意すべき点は大きく3つです。

  • 事前調査
  • アポ取り(メール)
  • 研究室訪問の準備

その他にも細かい注意点はありますが、今回の記事では主にこの3点について説明していきたいと思います。これから他大学の大学院入試を準備している方、研究室訪問を控えている方の参考になれば幸いです。

そもそも研究室訪問は必須なのか

院試の合否には影響しないというのが大学側の立場です。原則は試験の成績によって入学者は選抜されます。

が、大学院の世界は一般の学部入試と異なり、成績だけではどうにもならないこともあるのもまた事実です。

一番わかりやすい例が、他大学出身の院生を一切採用しないというスタンスの大学院。過去の入学者データを見てみると、他大学出身者がゼロという大学をたまに見かけることがあります。

私の友人のひとりが他大学大学院の臨床心理学の研究室に入ったのですが、彼以外の院生は全員、その大学出身者だったそうです。最初は居心地が悪いとぼやいていましたが、結局、博士後期課程まで進学しています。

ですので、他大学の大学院入試を準備する前に、必ず過去入学者のデータは確認しておきましょう。万が一、情報が公開されていなければ、事務に問い合わせるか、一番手っ取り早いのはそれこそ研究室訪問で尋ねてみることです。

ぶっちゃけ教授は研究室訪問をどう考えているのか

さて、話を研究室訪問に戻しますと、教授の多くは研究室訪問を肯定的に捉えているようです。中には研究室訪問をしなかった学生を受け入れないという先生もいらっしゃいました

これはうちの指導教授が話していたのですが、「面識のない学生を受け入れるのは少し抵抗がある」のだそうです。面接で「初めまして」という学生よりは、説明会や研究室訪問で見知っている学生の方を採りたくなるのも気持ちとしてはわかる気もします。

ところで、中には研究室訪問を好ましく思っていない先生もおられるようです。「入試の結果には全く関係ないからね」と念を押される先生もいます。

再度強調しておきますが、研究室訪問の有無は原則として合否に影響しません。ですが、面接時に教授の印象に残るか、残らないかという部分においては、研究室訪問は合否の判断基準に影響を与えるといえます。曖昧な書き方になりますが、これはもう神のみぞ知るという世界です。

ただし、研究室訪問は教授、学生双方にとってメリットがあるという点だけは断定できます。教授にとっては自分の研究に興味を持ってくれているだけでも内心嬉しく思っているでしょうし、自分の指導方針(研究分野や手法など)と合わない学生はこの段階で除外することができます。学生にとっても教授との相性を確認する貴重な機会です。

万が一、研究室訪問を拒絶しているところがあれば、入学説明会に足を運んでみるか、そうでなければ候補から除外しましょう。

事前調査でやっておくべきこと

まずは情報収集から始まりますが、世の中には多くの大学院と研究室が存在します。それをいちいち全部調べるのにはけっこう時間がかかります。

まずは、自分の大学の指導教授と相談してみることです。前回記事の「なんちゃって大学院生にみられる5つの特徴」では言及しませんでしたが、指導教授と相談することなく、大学院へ進学するというのはNGです。

特に他大学大学院への進学が事後報告になってしまったり、教授の反対を押し切っての進学となると、関係がかなり悪化します。。

私の場合、4回生になってから進学に関する相談に乗っていただきました。他大学院へ進学するかどうか悩んでいたのですが、様々な視点からアドバイスをしていただき、本当に感謝しています。

次にやったのが先行研究と文献の調査です。巻末の参考資料リストから、著者と所属先を調べ、候補を絞って行きました。その際に年齢もチェックしておきましょう。60代ですと退官が近いので、途中で指導教授が交代になるということがあるからです。

それと、若手の教授であれば海外留学していたり、在学中に海外に出て行かれるケースがあります。私も実は試験が終わった後、教授から1年間、海外研修にいくことが急遽決まったと伝えられ、申し訳ないと頭を下げられたのですが、、まぁ、M2のときではなかったのが幸いでした。

研究室訪問のアポ取りメール

ネットで検索してみると、研究室訪問の添削や書式についての情報が溢れていますが、ビジネスメールのように堅い文章を書く必要はないと考えます。

もちろん、知人に送るような軽い文面もアウトですが、アポ取りメールで大事なポイントは、

  • 自己紹介
  • 目的

少なくともこの2点が明確であれば、多少ぎこちない日本語でも問題ありません。たとえば、以下のような感じで送ります。

件名:研究室訪問に関するお願い

〇〇大学大学院〇〇研究科
〇〇先生

突然のご連絡失礼いたします。

〇〇大学〇〇学部4回生の〇〇と申します。

私は現在、〇〇というテーマで卒業論文の執筆を準備しており、将来的には博士前期過程に進学し、〇〇についてより深く研究したいと考えております。

〇〇先生の研究論文をいくつか拝見し、先生のもとで研究したいと思うようになりました。そこで、突然ではありますが、研究内容や進学のことに関しましてお話させていただきたいと思い、研究室訪問についてのご連絡を差し上げたしだいです。

ご多忙の中、大変申し訳ありませんが、ご時間を割いていただけないでしょうか。

それではご連絡をお待ち致しております。

自分の名前
E-mailアドレス

自己紹介の部分をもう少し詳しく説明しても構わないと思いますが、最初のメールで自分のことを長々と書いてしまうと、失礼だと思われるかもしれないので注意が必要です。

また、なぜその研究に興味を持ったのかも簡潔に書いておくといいかもしれません。おそらく、研究室訪問時に質問されると思いますが一応。

研究室訪問の準備

アポイントがとれたら、あとは直接お会いして話を聞いてみるだけです。あらかじめ質問しておきたいことをメモしておきましょう。

ところで、「教授と研究について話し合えるのか」と心配する方もおられるようですが、安心してください。この段階では、詳細な研究計画について話すことを求められていませんし、あまり期待もしていません。なぜその研究テーマに興味があるのかを確認される程度です。

以下は研究室訪問時にチェックすべき点です。

教授との相性

ある意味、研究室訪問の一番の目的といっていいかもしれません。ホームページの写真や論文の内容だけでは、どのような人なのかわかりませんが、一度会って話してみると、だいたいどんな人なのかがわかるはずです。

もちろん、10分、20分の短い時間では相性の良し悪しはわからないと思いますが、ものすごく不機嫌であったり、横柄な態度であったりするなら、指導スタイルもそんな感じです。

第一印象が全てではありませんが、それでも第一印象の良し悪しは重要な判断基準です。少なくとも、2年間はお世話になるわけですし、指導教授は慎重に選ばれることをお勧めします。(もちろん、これは訪問する学生の側にも当てはまりますので、くれぐれも失礼のないよう最低限のマナーには気を付けましょう。)

院生の話

研究室訪問の主目的は教授に会うことですが、研究室の院生の方と話してみることも大事です。

運が良ければ、教授が研究室を案内し、院生の1人、2人紹介してくれますが、そうではない場合、教授にお願いしてみましょう。不躾なお願いだと思われるかもしれませんが、それだけ大事だということです

院生にもよりますが、基本的にこれから入ってくる後輩に対しては好意的な人が多いです。こちらが聞かなかったこと(裏情報)まで教えてくれたりします。

もし教授が同席していなかったら、教授がどんな人なのか質問してみてもいいかもしれません。思わぬ本音を聞き出せるかもしれません(笑)

冗談はさておき、院生の方に時間をとってもらったら、院試についてアドバイスを求めるのがいいと思います。これも運がよければ過去問のコピーをもらえたり、参考書を見せてもらえたりします。

院生研究室

これは私の個人的な趣向でもあったのですが、やっぱり院生研究室って気になりますよね。

院生ひとりひとりに個人デスクがあるのか、それとも共同で使うのか。研究室の広さはどのくらいなのか。ポットとコーヒーは用意されているのか否かなど(笑)

これは本当に大学の財力によってピンキリなので、自分が将来的にお世話になるであろう院生研究室についてもしっかり確認しておいた方がいいと思います。

まとめ

以上が研究室訪問のおおよその流れになります。あと、研究室訪問の翌日にはお礼のメールを送っておくとよいでしょう。これも一種のマナーです。

それと、大学院入試説明会が開催されていれば必ず行くようにしましょう。ここで教授や院生の話を聞くことができたら、研究室訪問をする必要性はなくなります。

まぁ、研究計画書の書き方のアドバイスをいただくという名目で研究室訪問をする手もありますが、研究計画書については別稿で述べたいと思います。

最後に服装とお土産についてですが、面接ではないので、服装は私服で問題ないです。お土産もあってもなくてもいいと思いますが、先生個人に対する手土産は収賄行為と判断されるかもしれないので避けておいた方がよいでしょう。

どうしても持って行くのであれば、研究室の学生と食べられる和菓子なんかがいいかもしれませんね。

追記:大学院生の就活事情

文系大学院(おそらく理系も)であれば、M2は就活と修論準備でほぼ時間がなくなることになると思います。院生によって就活を始動するタイミングは異なるのですが、M1の段階でTOEICスコアをコツコツ上げている人もいました(研究室に生協で買ってきたTOEIC本が山積みになっていました)

その頃、院生の研究室内で話題になったのがどこのキャリアサポートに登録するのか。

当時はどこも一緒だろうと勝手に思い込んでいたのですが、転職活動時に凄腕のキャリアアドバイザーに出会ったことで考え方が一変。履歴書・職歴書の添削から面接での質問、さらに自分でも気づいていない癖など、陰キャでコミュ下手だった自分でも「就活って準備できていると楽しいもんやな」と思えるようになっていました

もしあなたが就活をしていてキャリアサポートを受けることを検討しているなら、絶対にお金を払ってでも個別指導型のキャリアサポートをおすすめします。

詳しくはコチラ

追記の追記

間違っても、ネット上にある真偽不明な情報を鵜呑みにして痛い目に合わないように(僕はこれで本当に恥ずかしい思いをしたことがあるのですが、詳しくははまたいつか..)。

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oshim

神戸近辺在住。大学院卒→韓国で研究員→日本語教師→コロナ前に帰国してから日本で会社員×副業でコーチングしています。専門はコンテンツビジネス、オンライン・オートメーションの仕組みづくり。

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