大学院ときくと、どうしても理系の院生というイメージが強いようですが、文系の院生もいます。うちの研究科だけでも1学年70人近くいました。(留学生を含めればもっといました)
とはいえ多くの文系の大学生は就職する割合が多いのも事実。実際に私と同じ学科で進学した人は、1人しかいませんでした。
周りの友人は就活中で、自分ひとりだけ図書館で大学院入試の勉強と取り残された感がありましたが、だからこそ大学院に入って自分の目標を達成してやるという気持ちがますます強くなったのを今でも覚えています。
ところで、私の場合、3回生での留学経験が大学院進学の契機となったのですが、どの大学院を受けるのかは全くの白紙でした。高校の時の進路でも相当悩んだのですが、大学院の選び方というか、どういう基準で選んだらいいのかよく分からなかったからです。
そこで、今回の記事では文系出身の私がどうやって大学院を選んだのか、その優先順位、選択基準を紹介させていただきます。
文系の大学院への進学を考えている大学生、社会人の方はぜひ参考にしてもらえると嬉しいです。
目次
基準1 自分は一体何を研究したいのか。
いうまでもなく、院に入れば基本的に一人で研究を進める必要があります。それが、最終的には修論という形で残りますし、どうせなら良い論文を残したいものです。
私自身、M2まで研究テーマが変遷しまくり、指導教授から何度もダメ出しされました。それでもなんとか修論をかけたのは、自分が本当にやりたい研究テーマをみつけたからです。
大学院に入る前と入った後で、研究テーマが変わるのはよくあることですが、研究のコアとなるべき部分、つまり「自分は一体何を研究したいのか」という問いに対する答えを用意しておかないと、後で必ず苦労することになります。
ということで、大学院を選択する最初の選択基準は、何よりも自分がやりたい研究テーマを見つけることです。
基準2 指導教授の選択
充実した大学院生活を送るための必要条件といえるのが指導教授の存在です。世の中には様々なタイプの教授が存在しますが、残念ながら教授との関係が原因で、中途退学を余儀なくされる院生が少なからず存在します。
正直、指導教授との相性の良し悪しは入学前にはわかりにくいものがあります。入試説明会や研究訪問だけでは、接触回数が少なすぎるからです。
ですが、教授がどのような研究を行っており、どのような学生を指導しているのかについてはしっかりと調査しておく必要があります。そうじゃないと、あとで違う研究をする羽目になるかもしれません。
そのため、書籍や学術論文を読むだけではなく、研究訪問や入学説明会などの場を活用し、教授と話をしてみるべきです。
それでも結局、入学後に指導教授を変えたという院生もいるので、同じ研究科に2人以上、指導をお願いできそうな先生がいた方がリスクを軽減できるかもしれません。
基準3 物理的距離・場所
関東の大学に通っているなら関東、関西なら関西にある大学院から選ぶのが基本になると思います。
少数ですが、北海道や九州という遠くから通っていた院生もいましたが、実家に帰るときや地元で就活する時に、時間やお金がかかってつらいと言っていました。
ただこれはもう本人の意思の問題なので、住み慣れた地域を一度離れて研究に没頭しないなら、遠方の大学院を選択するのも全然ありだと思います。
基準4 図書館・研究施設
文系大学院生にとって重要なのはなんといっても図書館です。図書館の規模が小さかったり、蔵書数が少ないと、他校の図書館から取り寄せたりと面倒です。
そこで実際に希望する大学院の図書館HPに入り、実際に蔵書検索をしてみましょう。今読んでいる学術本の参考文献でもなんでもいいのですが、あまりにも検索に引っかからないのであれば、自分の研究分野に関連する蔵書が少ない可能性もあります。
それと、利用時間も要チェックです。夜10時くらいまで開いているところもあれば、7時くらいには閉まってしまうところもあります。
特に研究室に個人のデスクがないのであれば、なおさら図書館は重宝しますので絶対に確認しておいた方がよいと思います。
基準5 大学院の授業
これは大学院によってできるところと、できないところがありますが、もしオープンキャンパスのように公開授業があれば参加してみるといいと思います。
うちの大学院でも1週間ほど公開授業をやっていたのですが、5, 6人ほどゼミの授業に学部生が参加してきたことがあります。
文系の大学院の授業は、基本的にディスカッション中心になるケースがほとんどだと思うのですが、大学によっては座学中心のところもあるかもしれません。
ここら辺りは大学のパンフレットだけではわかりにくい部分があるので、実際に自分の目で確かめてみるとよいと思います。うまくいけば、院生の先輩から詳しい情報をもらえるかもしれませんしね。
基準6 学費と奨学金
国立大学の場合、学費はどこもほぼ同じですが、私立の場合、差がはっきりとあらわれます。
親からの援助が期待できず、一人暮らしの場合、学費免除の制度を活用するか、奨学金に頼るのが一般的です。(学費免除制度に関しては「一人暮らし必見!大学院の学費を簡単に捻出する2つの方法」を参考にしてください。)
奨学金に関しては、いわゆる貸与型ではなく、給付型の奨学金が充実している大学院を選ぶのも一手です。
参考までにうちの大学院の場合、成績優秀者には奨学金が支給されていて、友人はそれで学費を払っていました。(ほんとうらやましかったです)
基準7 留学制度
学部生だと交換留学という制度がありますが、派遣国によっては競争率が非常に激しく、しかも学費は結局、払わないといけないというデメリットがあります。
大学院にも交換留学制度はありますが、多くの院生はその研究科独自の留学制度を活用しています。かくいう私もその一人で、1学期ではありますが、渡航費、授業料、滞在費が支給されとても助かりました。
特にダブル・ディグリー(複数学位取得)制度に興味のある方は、支援内容や派遣先などホームページで公開されているので、確認しておくといいかもしれません。
おまけ:大学院に偏差値はない
意外と知られていない話なのですが、大学院には所謂、偏差値というものは存在しません。高校生の頃は、大学の偏差値を見ながら志望校を選んでいたかもしれませんが、院で求められるのは研究能力や論理力という数値化できないものなので、試験内容も小論文や面接といったところが多くなります。
とはいえ、「旧帝大」や「早慶上智」といったブランドパワーが大学院にないわけではありません。それでも選択基準として書かなかった理由は、結局、名門校には著名な教授がいれば、研究施設も充実していることが多いからです。
ですが、研究したいことや指導教授を後回しにし、名門校・ブランドパワーありきで大学院を選んでしまうと、きっと後悔すると思います。大学はそれでもなんとかなりますが、大学院は目的がない人にとってかなりつらい世界です。
しっかりと吟味してから大学院を選ぶことが何より大事だと思います。
追記:大学院生の就活事情
文系大学院(おそらく理系も)であれば、M2は就活と修論準備でほぼ時間がなくなることになると思います。院生によって就活を始動するタイミングは異なるのですが、M1の段階でTOEICスコアをコツコツ上げている人もいました(研究室に生協で買ってきたTOEIC本が山積みになっていました)
その頃、院生の研究室内で話題になったのがどこのキャリアサポートに登録するのか。
当時はどこも一緒だろうと勝手に思い込んでいたのですが、転職活動時に凄腕のキャリアアドバイザーに出会ったことで考え方が一変。履歴書・職歴書の添削から面接での質問、さらに自分でも気づいていない癖など、陰キャでコミュ下手だった自分でも「就活って準備できていると楽しいもんやな」と思えるようになっていました。
もしあなたが就活をしていてキャリアサポートを受けることを検討しているなら、絶対にお金を払ってでも個別指導型のキャリアサポートをおすすめします。
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